COLUMN
2025.05.20
vol.599「It‘s so crazy !〜アンパンマンとやなせたかし」
坂井 明日香(デザイン部)
グラフィックデザインチーム「is good!」の坂井です。
2025年度前期NHK朝の連続テレビ小説「あんぱん」が始まりました。
アンパンマンの作者である絵本作家やなせたかしとその妻の小松暢(こまつのぶ)をモデルとしたドラマです。
やなせ先生は絵本作家でありながらアンパンマンの劇中歌や様々な楽曲の作詞をしており、有名な「手のひらを太陽に」も手がけられています。
先生の作品の中でも、やはりアンパンマンは今や国民的なキャラクターであり、我が家の2歳児も沼落ち中です。
丸を基調としたシンプルなデザインは、生後まもない0歳の赤ちゃんでもアンパンマンを認識しやすく、さらに「アンパンマン」という言葉自体も乳幼児が発語しやすいため、親しみを持ちやすいそうです。
アメリカ、韓国、タイなど海外でも放映されているアンパンマンですが、国が違えば反応もさまざまです。自分の“顔”であるあんパンをパカッと割って相手に差し出す(食べさせる)シーンは、一部の海外視聴者から“It’s so crazy!”と驚かれることもあるようです。
私たちはこれまで当たり前のように受け入れてきましたが、よく考えてみると、顔はパンでも体は人間のような体型ですし、中身(あんこ)が丸見えになってしまいますし…。ツッコミどころ満載ですよね。
初期の絵本には、「ぼくは大丈夫だから全部お食べ」と言って顔全体を差し出し、顔のない胴体だけで空を飛び(当時は顔がなくても飛んでいます)、パン工場に戻るという、かなりクレイジーな描写もあります。
それにしてもアンパンマンは、なぜここまでして他者を喜ばせるのでしょうか。
やなせ先生の作品には、「正義とは?」「生きる喜びとは?」という問いがたびたび登場します。その根底には、ご本人の戦争体験が大きく影響しているようです。
ドラマではこれからの展開で戦時中の描写も今より多く出てくると思われます。作者がどのように生きてその想いに至ったのか、今後劇中でも創作のヒントが登場するはずです。これからも楽しみに視聴したいと思います。