COLUMN
2026.08.04
vol.658「ワールドカップとウィンブルドン」
松山 隆典(ウェブ課)

2026年FIFAワールドカップが終わりました。
今大会は、やっぱり強い国は強かったなという印象で、全体のレベルも高く、最後まで見応えのある試合が多くて純粋に楽しめました。
一方で今回は、ダイナミックプライシングによるチケット価格の高騰や、給水タイム、長めのハーフタイムショーなど、試合以外の商業的な部分が話題になることも多かったように思います。
そんな中で対照的だと感じたのがウィンブルドン(全英オープン)です。
ウィンブルドンは約150年の歴史を持ち、世界で最も権威あるテニスの四大大会の一つとして知られています。
センターコートをはじめ会場内には広告がほとんどなく、選手も白を基調としたウェアの着用が義務付けられています。メーカーのロゴも厳しくサイズが制限されていて、スポンサーよりも「スポーツそのもの」を主役にする姿勢が徹底されています。
チケットも、すべてを高額販売するわけではなく、約半数は抽選販売で比較的手頃な価格に設定され、さらに当日券も「The Queue」と呼ばれる伝統的な行列に朝早く並べば購入できます。
本当のテニスファンに世界最高峰の大会を体験してもらいたいという考え方が感じられます。
広告を増やしたり、チケット価格を最大限まで引き上げたりした方が収益は大きくなります。
でも、ウィンブルドンはあえてそうしないことで、伝統や格式、特別感という唯一無二のブランドを築いてきました。そのブランド価値が世界中のファンやスポンサーを惹きつけ、結果として長期的な収益にもつながっています。
もちろん、お金を稼ぐこと自体が悪いととは思いません。大会を運営し、競技を発展させていくためには収益は欠かせないものです。ただ、目先の利益を最大化することだけが正解ではなく、長く愛される価値やブランドを育てることが、結果として収益につながる。
スポーツだけでなく、企業やブランドを育てるヒントがここにあるように感じました。
△イラストはAIを使用しています。