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COLUMN

2025.11.18

vol.623「方言を守りたい」

鈴木 将生(業務課)

皆様は普段の会話で方言を使っていますか?

私は阿賀野市の出身で、自分の地域で話されている方言は、長岡周辺のいわゆる「ガーガー弁」などに比べるとそんなに面白みも無いように思っているのですが、聞き馴染みのない人にとっては存外きつい方言のようで、他県出身の方から「何を言っているのか分からなかった」と言われたことがあります。

例えば、
「そんなもの、もう捨ててしまったよ」
を方言で言うと、
「そんげがん、はー捨ててしもたわや」
となります。

この場合、「はー」が「もう」に対応しているのですが、地域による違いなのか、年代による違いなのか、「はー」ではなく「へー」を使う方もいました。

わずかな違いではありますが、私が今に至るまで「はー」としか言ったことがないのに対し、その方は絶対に「へー」としか言わないのを面白いと思って聞いていました。その方は新潟市出身だったので、もしかすると「へー」の方が標準的な新潟弁なのかも知れません。

私はこういった方言の多彩さが好きで、新潟県だけでも地域により複数の話し方があるということは、日本全国で考えると47をはるかに超える方言があるということになり、その成り立ちや変化の歴史にとても興味があります。

一方で、昨今、方言は徐々に話されなくなりつつあるのではないかと思います。

私自身、中学生・高校生の時分で既に、学校等で友人達とする会話では標準語で話していましたし、他県に住む同世代の知人達からも、大きな訛りや、理解できないような単語を耳にすることはまずありません。

家で家族と話す時には無意識の内に方言が出てしまいますが、裏を返せば、この先家族と離別してしまったら、自然に方言で話せる相手を失ってしまうことになるのかも知れません。

こうした「方言を話さない世代」が今後ますます増えていき、逆に普段から方言で話す人達が減少していくとしたら、数十年後・数百年後の未来には、日本から方言は無くなってしまうのでしょうか。話し言葉が統一化され、方言による不要な混乱を防げるという見方もできますが、今自分が使っている方言をネイティブに話せる人が一人もいなくなり、まるで外国語を学ぶような感覚でしか触れられないものになってしまうとしたら、それはとても寂しいことではないかと思います。

方言はただの話し言葉に留まらず、その言葉の響きに馴染みの無い人の心を惹くものだと思います。

「登場人物に方言を喋らせる」という部分に重きを置いている作品も数多くありますし、流行語大賞に方言が選出されてきたりと、方言が持つ魅力、そして秘めている可能性は無限大と言っても過言ではないかも知れません。

そんな素敵な言葉達にはいつまでも消えてほしくないと願ってしまいます。

方言を守っていくために私に何が出来るのかは分かりませんが、これからも色んな媒体で各地の方言に触れて楽しんだり、何かしらの形で自分の地域の方言を発信してみたいな、と思っています。

とりとめのない文章になってしまいましたが、皆様もこの機会にぜひ、「方言」について調べてみてはいかがでしょうか。

P.S.
私の推し方言は北海道弁です。新潟弁と似ているというのもありますが、語尾につく「~べや」という響きが好きだったり、コーヒーを「コー↑ヒー↓」というイントネーションで呼んだりするのがなんだか癖になるのです。

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