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COLUMN

2025.09.16

vol.615「認知症の人に優しい」

赤塚 壮一(総務部)

次に注目されるキーワードは「認知症の人に優しい」かもしれません。

8月26日の日本経済新聞・社説の見出しは「認知症の人に優しい製品を」でした。

そこには、日本で暮らす認知症および軽度認知障害(MCI)の高齢者が1,000万人を超え、「認知症とともに歩む時代」が到来していると記されていました。

私自身、9月で64歳。日本で一般的に高齢者とされる65歳を目前に控え、認知症という言葉が以前よりも現実味を帯びて感じられるようになりました。

「自分もいつかは、程度の差こそあれ認知症になるのだろうな…」と。

実際、私の両親はともに90歳を超え、妹夫婦の助けを得ながらも2人で生活を続けています。しかし薬の飲み忘れや、飲んだかどうかを忘れること、冷蔵庫にまだある食品をまた買ってきてしまうことなど、日常の小さな困難に直面しています。将来は自分も同じような状況になるかもしれないと思うと、複雑な気持ちになります。

だからこそ冒頭の記事が心に残りました。私たちが日常的に使うシステムや道具は、本当に「認知症の人に優しい」設計になっているでしょうか。

もちろん実現には高いハードルがあるでしょう。しかし1,000万人を超える人々に支持されるようなシステムや道具が生まれれば、それは大きな新市場の開拓につながります。

さらに、日本の後を追って高齢化が進む国や地域へも展開できる可能性があります。

「女性にも使いやすい」「高齢者にも扱いやすい」に続く次のキーワードは――「認知症の人にも優しい」かもしれません。

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