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COLUMN

2025.09.09

vol.614「時短の代償」

長谷川 洋(営業部)

2年前、テレビを買い替えたときにサブスクに加入して以来、映画を観る機会はDVDを借りていた頃よりも格段に増えました。

ただ困っているのは「何を観るか」を決めるのに、つい長時間かけてしまうこと。これからの2時間を後悔したくない一心で延々とリストをスクロールし、観る前に疲れてしまうのです。

一方、スマホには映画のあらすじをまとめた「まとめ動画」が次々と流れてきます。「これは見ちゃいけない!」と思いつつ、ついつい見てしまいます。

確かに、1本につき10分程度で[あらすじ]がいくつも手に入ることは手軽でタイパも良く感じますが、果たしてこれは、本当に楽しんでいると言えるのでしょうか…。

コンテンツをどう見ようが個人の自由とは言え、作品の制作意図は完全無視です。当然ですが、いくつ[あらすじ]を頭に入れても、1本をじっくり観た時のハラハラや感動、その余韻は全くありません。

気づけばこの世の多くのことが「時短」に置き換えられ、無意識のうちに[脳に入れる新しい刺激の数]だけを優先してしまっている…。いつも落ち着かなく、今の時間と向き合うことができなくなっている自分がいます。

思い返せば子どもの頃、真っ白な紙を前に「何を描こうか」と迷ったり、山ほどのブロックを前に「何を作ろうか」と考えたり…。

あの、ゆったりした時間の中で想いにふける感覚を、もう一度取り戻したいと感じる今日このごろです。

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