COLUMN
2025.05.13
vol.598「友情について大人が忘れていること」
松山 隆典(ウェブ課)
子どもに「パパって友達少ないよね」と言われました。
「いや、そこそこいるよ」と返したものの、確かにここ1~2年で連絡を取っていない友人も多いなと、ふと気づきました。昔はよく会っていたのに……。
気がつけば、仕事、家庭、子どものこと、そして自分の趣味に時間を使う毎日になっていました。
大人になると、友人と会う機会はどうしても減っていきます。しかも、新しく知り合う人との関係は、どこか効率や目的が前提になっていて、いつの間にか「友達」というより「仕事のつながり」や「何かを一緒にするための人」になっていることが多いように思います。
そんなとき、ある記事に出会いました。そこには、こんなことが書かれていました。「目的のない時間を過ごすことで、特別な友情が築かれる」「一緒に立ち止まったり、余韻に浸ったり、時間を浪費することで、社会生活が豊かになる傾向がある」と。
思い出したのは、小学生の頃のことです。友達とザリガニを獲ったり、川に石を投げたり、カッパを探したり……。今思えば「無駄」と言われてもおかしくないような時間ばかりでしたが、あの何でもない時間こそが、自分の中では一番贅沢で、本物の友情を育んでいたように思います。
年齢を重ねるごとに、時間はどんどん貴重になっていきます。それなのに、あえて「無駄なこと」に時間を使うことが、実はとても豊かなことなのかもしれません。理屈で考えると矛盾しているようですが、どうやらそれが“正解”なのではないかと感じます。
だから、大人になってからできた友達とも、何の目的もなく、ただふざけ合うような時間を大切にしていきたいと思います。「意味なんてなかったけど、楽しかったよね」と笑い合える時間を、これからもちゃんと作っていきたいです。