COLUMN
2025.04.15
vol.595「ノームコア」
伊藤 貴生(CS課企画)
お恥ずかしながら最近知った言葉に、「ノームコア(Normcore)」という言葉があります。
「ノームコア」とは、「ノーマル(普通)」と「ハードコア(徹底的)」を組み合わせた造語で、要するに【究極の普通】を目指すスタイルのこと。シンプルで飾り気のない格好こそ、カッコいいっていう考え方です。
「ノームコア」と言うといつも例に挙げられるのがスティーブ・ジョブスです。いつも黒のタートルネックにジーンズっていう、ブレないスタイルが印象的でした。彼があの格好を貫いたのは、服選びに時間をかけず、本当に大事なことに集中するためだったそうです。
これって、商品デザインにも通じる考え方だと思います。
日本の商品はどんどん似たものが増えてきて「どれを選んでも同じ」状態、つまりコモディティ化が進んでます。
だからこそ差別化しようとして、必要ない個性を足してしまうことも多いです。でも、そのせいで逆に使いにくくなったり、商品本来の「らしさ」や「機能」が薄れてしまうこともあるでしょう。
そもそも、私たちが欲しいのって「ちゃんと使える」「長く使える」ものです。定番って呼ばれる商品には、それだけの理由があります。
だから、商品づくりにおいても「変わったデザインを足す」より、「基本の性能をしっかり磨く」ことのほうが、大事なんじゃないかなと思います。
デザインって、余計なものを引き算して、本質を際立たせるものとも言えます。ノームコア的な視点で作られた商品は、見た目こそ地味かもしれないけど、ちゃんと役に立って、長く愛される。そんな存在になれるかもしれません。
ちなみに私も、そんな考え方から、無印良品の服をよく着ています。飾らないけど、なんだか安心感があリますよね。考えるのが面倒だというのもありますが。
もっと基本に忠実で、質のいい“ふつう”を大事にしたいものです。