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COLUMN

2024.01.23

vol.533「2024年は新紙幣が発行されます」

近藤 武弘(デザイン部)

2024年は、能登半島地震や航空機事故など、胸を締め付けられるような出来事が続き、心が痛む幕開けとなりました。改めて、犠牲になられた方々に謹んで、お悔やみを申し上げますとともに、被災された方々にお見舞いを申し上げます。

そんな2024年なのですが、明るい話題として7月に新紙幣発行、パリ五輪開催などがあります。

この新紙幣発行は、なんと2004年以来のことで、そのデザインには一流の功績を残した人々が起用されました。1,000円札には北里柴三郎氏、5,000円札には津田梅子氏、そして10,000円札には渋沢栄一氏といった、歴史に名を刻んだ錚々たる顔ぶれです。これらの偉人たちがなぜ選ばれたのか。改めて調べると、その業績に納得せざるを得ません。

ではなぜ紙幣のデザインを変えるのでしょうか?

もちろん飽きたから変えようなんて理由ではなく、それには主に偽造防止が関わっています。印刷技術は驚異的に進歩していますが、毎年偽造紙幣が出回っている実情があります。

偽造紙幣が市場に流通しての世界的な信用低下を防ぐためには、新紙幣の発行が必要です。新紙幣は度々発行される中で、最新技術が駆使されているとのことですが、聞けば聞くほど日本の印刷技術の優れた点には驚かされます。

ただ、デザイン的に唯一引っかかるのは、金額を示す1000、5000、10000のフォントには、「浮いているなぁ」と感じました。視認性は抜群で良いと思いますが、ちょっと違和感を感じてしまいます。国立印刷局のサイトの説明によると、「年齢や国籍を問わず多くの人に馴染みのあるアラビア数字を大きく見やすくした」とのことなので、ここだけはユニバーサルデザインとして、視認性を重視しているのでしょう。

紙幣を手にする側はその斬新なデザインに、「へーすごいなぁ!新鮮だな!」なんて感動する程度なのでしょうが、金融機関のATMなど、新紙幣に対応するためには相当なコストがかかるようです。

それでも、紙幣のデザイン変更は20年毎に行われると聞いています。キャッシュレス時代とは言え、これからの生活で毎日接することになるであろう新紙幣に触れる日が待ち遠しいです。

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