Column

『vol.367「ASMR」』

by 伊藤 貴生 (CS課企画)

ASMR(エーエスエムアールまたはアスマー)という
言葉を最近よく耳にします。

これは「Autonomous Sensory Meridian Response」の
略で、直訳すると「自律的感覚頂点反応」となります。

「自律的~」などと書くとよく分からないですが、
一般的には聴覚や視覚への刺激で、心地よくなったり、
触感がゾワゾワするといった反応のことです。

このASMRな内容を含む動画をASMR動画といい、
動画投稿サイトでは今や一ジャンルとして
確立されています。

どんな動画が具体的にはあるかというと、
物を食べるときの「サクサク」という咀嚼音を
強調した動画であったり、ひたすらパソコンを
タイピングする動画、ただ焚火が「パチパチ」
燃えているだけの動画などが挙げられます。

ASMR動画を見る(流す)目的としては、「ストレス解消」や
「作業の集中力アップ」、「睡眠導入補助」などに
使われるようです。

癒やし効果や快眠効果があると言われている
ASMRですが、その理由についてはまだ
はっきりとしたことはわかっていません。

焚火の燃える音やタイピング音のように、
聞いていて心地よい音はいわゆる「1/fゆらぎ」
の解釈で説明できそうですが、咀嚼音のような
普段聞いていてあまり心地のよくないと思われる
音についても、ASMR動画で人気なのは
どのような理由があるのでしょうか。

人間の脳の中で聴覚と触覚の処理をする
部分がとても近い場所にあるので、
音を聞いて聴覚が刺激されることで
触覚の処理にも影響を与え、ゾワゾワっと
した感覚が起きているという説があります。

咀嚼音については、その音を聞きつつ、
食べている映像を見ることによって、
聴覚と触覚が刺激され、
人が食べている音というよりは、
自分が食べている音として
聞いているのかもしれません。

動画を見ることによって、その音から
揚げ物のようなサクッとしたものを
食べたときの歯触りを思い出して、
心地よくなるのではないでしょうか

ASMRを使って食品の販促を行う場合、
誰でもわかる芸能人のようなインフルエンサー
を起用するよりは、あえて誰だか特定できない
一般の方を起用した方が、見てる側が自分に
置き換えやすく、より高い効果を望める
のかもしれません。

食品の写真は「シズル感」が大切といいますが、
これについても実際目の前にその食品がある
かのように見せるための手法であり、
その「音」番がASMRなのではないでしょうか。

食品の販促を考えた場合、美辞麗句を並べるより、
実際に一口食べてもらうのが一番手っ取り早いです。

しかしそれが無理な場合、美味しそうな見た目や
食べている行為、そして食べている「音」を
見せたり聞いてもらったりすることによって、
ユーザーの「体験価値」を提示することが
大切なのだと改めて思いました。

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