COLUMN
2025.10.15
vol.618「ブリとイナダのあいだで」
初瀬 隆幸(営業部)
だんだんと寒さが増してきて、そろそろ紅葉の季節がやってきますね。皆さま、いかがお過ごしでしょうか。
さて、最近ちょっと気になることがあります。スーパーの鮮魚コーナーで「ブリ」と書かれているのに、どう見てもイナダじゃないかな?という場面に出くわすことが増えた気がするのです。
同じ魚とはいえ、ブリとイナダではやっぱり印象が違います。
個人的にはブリのほうが脂がのっていて好きなので、ワラサならまだしも、イナダを「ブリ」として並べられると、少しモヤッとしてしまいます。
もちろん、イナダにはイナダの、ブリにはブリの美味しさがあります。だからこそ、それぞれの名前をきちんと使い分けてもらえると嬉しいなと思うのです。
「どちらも同じ魚だからいいでしょ」ではなく、食べる人が楽しみにしている“味”や“季節感”を大事にしてほしい――そんな気持ちです。
当社の仕事では、表記ひとつを間違えるだけで大きな問題に発展することがあります。意図せずであっても、それは信頼に関わる大切な部分です。
魚の名前ひとつにしても、正直で丁寧な姿勢が伝わると嬉しいですよね。
これからは寒ブリが美味しい季節。どうか「寒イナダ」ではなく、本物の寒ブリに出会えますように。
皆さま、食欲の秋をどうぞ存分にお楽しみください。
*ちなみにブリは「出世魚」と呼ばれ、
成長するにつれて名前が変わります。
モジャコ → ワカシ → イナダ → ワラサ → ブリ
(目安として、イナダは35~60cm、ブリは80cm以上です)
寿命はおよそ6~7年。4~5年ほどで立派な
ブリと呼ばれるサイズに成長します。
さらにこれは関東での呼び名で、関西ではイナダ=ハマチ、
ワラサ=メジロ、ワカシ=ツバスと言います。